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◆歩きの技術
・区切り打ちか、
 通し打ちか

・全部歩きか、
 一部歩きか

・季節はいつか
・持病などの
 障害はあるか

・経験はどうか
◆休憩の技術
・行動中の休憩
・朝夕のケア
◆郵便局の活用
 
歩きの技術

区切り打ちか、通し打ちか

お遍路用語で「区切り打ち」とは、88カ所の札所を何回かに分けて廻ることです。仕事を持っている人などは、この方法で廻ることがほとんどでしょう。お遍路を「通し打ち」は、一気に廻るので、1〜2ヶ月の時間余裕が必要になります。この両者で、歩きの技術に根本的な違いはないと考えている人が多いことと思います。しかし、本当に「通し打ち」で結願したいのなら、事前の計画から、実際の歩行まで、臆病なくらい慎重になることが大事です。ほんの小さなマメが一つ出来ただけで、計画などは簡単に崩れます。歩くときに、体力・精神・時間・金銭のすべての面で十分に余裕を持っておくことが望まれます。この「四国88カ所お遍路」で「いざとなったら区切り打ちに変更だ。」と考える位の気持ちのゆとりをは、通し打ちのお遍路のつもりで出発して、途中で何らかの理由で中止しても、それは「区切り打ち」の途中であると見なします。何か不都合が起きたら、いったん中止して、次にまたそこから再出発できるのも「四国88カ所お遍路」の優れたところなのです。このことを忘れずに、「いざとなったら区切り打ちに変更だ。」と考える位の気持ちのゆとりを持てば、かえって通し打ちの実現が可能になります。「何が何でも」と思うと、焦りが事故につながります。通し打ちのお遍路をするつもりなら、決して飛ばさず、ゆっくりと慎重に歩くことを身につけていただきたいものです。
さらに、歩く技術でいえば、必ず持つ金剛杖の他にもう1本、ストックを持ち、特に下り坂などでは2本杖で歩き、しかも手と足を同方向で出す、いわゆる『難場(ナンバ)歩き』で歩くのがよいでしょう。最近のクロスカントリー界で主流になっている「ノルディックウオーキング」の方法です。なお、この「2本杖」に関して難場歩きは、「同行二人(杖は御大師様の化身である)」の言葉から否定的な発言をされる方もおられますが、(石原も80番国分寺の近くで出会いました。)危険を予防して結願の可能性を向上させるという目的のためには、むしろ積極的に使ってもよいのではないかという見解を総本山善通寺(75番)で、確認しております。

全部歩きか、一部歩きか
遍路旅は歩くことが修行、といわれます。確かに、全部を歩き終えたときに得られる達成感は筆舌に尽くしがたいものがありますし、それ以外に得られる大きなものもあります。だから、全部歩き通すにこしたことはありません。しかし、大切なのは、そのことにとらわれすぎない、こだわりすぎない、ということではないでしょうか。お遍路の修行の果てに得られるものの中に「とらわれない心」「こだわらない心」があるのです。通し打ち・区切り打ちのところでも述べましたが「何が何でも」と考えないことが必要です。「出来るだけ…」程度に考えておけば、いつしか次の札所に着いていた、ということの繰り返しが可能になります。八栗ケーブル
初めて遍路旅に出る場合は、全部を歩き通すことと、とにかく一度全部を廻ってしまうことの天秤を考える人もいると思います。一部歩きのお遍路で、札所間の距離が遠いところ(最長で90km以上ある)や、ロープウェイやケーブルカーが設置されているような難所は交通機関を利用するという方法であれば、3週間前後で結願出来ます。費用面でも、宿泊費などの費用が少なくなるので、全部歩く場合よりずいぶん低く抑えることが出来ます。また、体力に自信が無い人、時間の余裕が取りにくい人などに適した方法でもあります。何を優先に考えるかは、個人の価値観の問題で、どちらの考え方が良いというものではありません。交通機関を併用してでも、一度全部の札所を廻り終えて、歩きたければ、再度出直すのも、立派な一つの方法です。ほとんどのお遍路さんは、事情が許す限り「リピーター」になりたがるのですから…。この「一部歩きお遍路」の場合は、歩く技術より、乗り継ぐ技術が重要になります。交通機関のダイヤを事前にチェックしておかないと、便数の少なさや、最終便の時間の早さは、都市部の感覚と隔絶している場合があります。また、バスは、始発停留所以外交通機関のダイヤは事前にチェックを!は、早くでてしまうこともあり、乗り損ねると、その日はもうおしまい、というケースも大いにあります。早めの到着を心がけましょう。JRは、無人駅が結構あり、駅員に訊くことが出来ないケースが多いので、自分でダイヤや停車駅などを確認・把握しておくことが大切です。

季節はいつか
「遍路」が、俳句上では春の季語になるほど、春と秋は遍路旅に適しています。ただし、それは、混雑と同義になります。宿も取りにくくなるし、納経所でも思わぬ時間がかかります。宿は、札所で手間取って、予定通りに進めないことも想定した上で「早め・近め」の予約をしなければならないでしょう。また、道連れが出来ることも多いのですが、それがよいかどうかは、結論が出ません。修行という意味では、独り往く方がよいでしょう。しかし、人と触れ合う中で自分を見つめたり、あるいは、相手の悩みを共有して重荷を分かち持ってあげることが出来るなら、それも十分に修行になります。逆に、自分の悩みを誰かに聞いて欲しいとか、道案内に不安があるからなどの思いを持って道連れを作ることは、あなた自身にも、相手にも、後で負担がかかります。慎むべきです。この手のトラブルは、過去に山積しています。
さて、この時期のお遍路の安心材料とすれば、遍路道上をぞろぞろと人があふれているので、道行く自動車のドライバーが、歩行者が多いと言うことを認識し、多少慎重な運転になっていることです。ただし、これは昼間のことで、夜間・早朝は、夏場に比べて、かえって注意されないことがあります。故に、歩く側の注意が必要です。その他の注意点として、人が多いので、「遍路ころがし」と言われる山道などでは小さな落石が後を絶ちません。
必ずしも全員が同じルートを同じ向きに歩いているのではありません。また、何でもないところで道に迷うことが多いのも、この時期の特徴です。これは、一つは人が多いことで安心して、注意力が不足していると言うことであり、さらには、全員が同じ方向に向かっているとの思いこみから、別方向へ行く人の後についてしまうというミスが起きたりするのです。お遍路の何パーセントかは、88番から87、86と逆に廻る人(逆打ちといいます)もいるし、ルートの都合で順不同に廻る人もいます。必ずしも全員が同じルートを同じ向きに歩いているのではありません。特に、閏年の逆打ちお遍路はいっそう御利益が高いという説もあり、通常年の数倍増えますので、注意が必要です。他人について歩くのではなく、自分でルートを確認しなければなりません。
夏は、遍路旅をするにはつらい季節です。天気が良ければ、昼間の数時間は歩けない位に暑くなるし、天気が悪いと言うことは、台風を連想させます。四国は、俗に言う台風銀座です。もちろん、上陸すれば、歩けたものではないのですが、沖合を通過するときにも、雨と風は強烈で、平成16年には、あちこちで大きな被害が続発しています。山崩れや道路の崩落だけでなく、沿岸部では高潮も起きています。ただ、このようなことを補えるメリットとすれば、荷物が一番少なくて済む季節であるということ、お遍路をする人が少ないので宿の予約が取りやすいことなどがあります。歩くときの注意点は、先ず脱水症状や熱中症など、暑さによる障害に注意することです。こまめな水分補給と涼しいところでの休憩を実行してください。山道では、樹木の葉が一番茂っている季節なので、見通しが悪く、足許のマムシと顔の前の蜘蛛の巣に注意を取られ、道標を見落とすのも、この季節です。
冬は、年末年始の時期に「区切り打ち」の人が一時的に増える他は、お遍路をする人の少ない季節です。この時期の荷物には、防寒のための装備が、かさ、重量ともに大きな負担にはなりますが、歩くためには、決して不快な季節ではありません。ルート上の最高所でも、標高1,000mに満たない上に、南国である四国では、気温0℃以下のことを想定する必要は、ほとんどありません。野宿の場合は、寝袋など、ある程度のものを準備しなければいけませんが、歩くときの防寒は、化繊のTシャツにフリースの中間着、ウインドブレーカー、白衣と重ねていれば、ほとんどの場合は大丈夫です。それで足りなければ、使い捨てのカイロを用意すれば済みますし、これはどこを歩いていても、2日以内に手に入ります。夏に加熱した体を冷やすより、冬に冷えた体を温める方が、ずっと簡単です。歩くときの注意点とすれば、朝一番や休憩後の歩き始めは、車に暖機運転が必要なのと同じで、決して飛ばさず、ゆっくりスタートして、体が温もれば、汗をかかないように、素早く1枚服を脱ぐと言うことになるでしょう。冬でも、歩いていれば、思いの外に発汗します。これが、大敵になります。肌近くに汗を滞留させると、冷えの原因になり、体調を壊すことにつながるのです。

持病などの障害はあるかケガや体調不良などの場合は無理をせずに近くの病院へ!
石原は、労作性狭心症の患者です。心臓の動脈に、ステントという金属チューブを5つ入れて、血管が狭まるのを防いでいます。急激な身体負荷をかければ、発作が起きます。ニトログリセリンは離せません。しかし、歩き遍路中に、何一つ問題は起きませんでした。遍路旅は、確かに過酷な難行・苦行ではあります。しかし、運動量はあっても、激しくはないような廻り方は十分に可能です。団体旅行では、周りとペースを合わせることが求められますが、ペースを自分で決められるのが、自分で行く遍路旅の特徴です。だから、何かの障害があっても、その条件下で廻ることは十分に可能です。ただし、事前に主治医とよく相談することと、ルート上での病院の位置を知っておいて、異常があれば無理をせずに、すぐに近くの病院に行く心がけを持つことが絶対前提です。

経験はどうか
先にも述べましたが、お遍路の計画の中に「野宿」を含んでいる人は、当然、その様な経験が既にあるものと見なしています。また、自転車やバイクで廻ることを計画している人についても、各々のツーリングの経験は当然あるものと見なします。よって、ここで取り上げるべき「経験」とは、「長距離歩行」に対するものであり、また、「札所を巡る巡礼(お遍路)」としてのものとなります。
先ず、長距離歩行についての経験に関しては、山歩きなどの経験がある人は最近増加の一途をたどっているようですが、それを数十日、毎日続けるという長丁場を経験した人は少ないと思います。毎日1時間のウォーキングを日課にしているなどという経験も、毎日8時間、数kgの荷物を背負って旅をすることとの違いを、歩き始めれば、すぐに気づかされます。長距離歩行に一番必要なことは、体調の維持です。これには、足の裏の状態も含まれます。実際、普通の現代生活をしている人が、遍路旅で10日も歩けば、足裏の皮が倍も分厚くなったような気になります。これは、結願し終えて自宅に戻り、日常生活を再開しても、1ヶ月以上続く感覚です。マメを作らずに、上手に皮を厚くできれば、中盤以降は、この厚い足裏の皮が、歩くときに如何に有り難いかがわかります。「風邪を引かない」「怪我をしない」と言うことと同じ位、「マメを作らない」あるいは「出来たマメを潰さない」と言うことが大切です。さらには、「筋肉痛への対処」「ねんざの予防」などが、体調の維持に含まれる大きな要素になります。これらの肉体的なことの他に、精神面での問題もあります。気分がどうしても波を描きます。だれてくる日もあるし、逆にハイパーになって飛ばしたくなる日も出てきます。その様な「気分のコンディション」を如何にコントロールするかも、お遍路における重要な課題です。「だれず、焦らず、コンスタントに…」を心がける方法は、人により様々ですので、自分で方法を見つけるしかないのですが、「心がけなければいけない」と言うことだけは、忘れずにいてください。
「札所を巡る巡礼(お遍路)」と言うことに関しては、先ず、自分が、多くの人々が日常生活をしている場にお邪魔させていただいていることを念頭から外してはいけません。この土台がなければ、地元の人たちと良好な関係が築けません。残念なことに、昨今のお遍路人口の増加に伴い、一部に、地元の方に迷惑をかけて、関係を悪化させた人たちがいます。その結果、お遍路さん全般に対して、対応が厳しくなったり、野宿ポイントから閉め出されたりするような影響が出ています。石原が実際に見た限りでも、白衣を着た数人が、早朝から山門の前で酒盛りをしていたり、無人駅に住み着いて、夕方の仕事帰り客が多数乗り降りしている待合室のベンチで寝ていたりする人がいました。これらの「白衣を着たホームレス」的な人たちが、地元の人たちの眉をひそめさせているのは、想像が付くことと思います。そこで、あなたは、彼らとの違いを明確にしなければなりません。地元の方に出会ったら、笑顔で挨拶をそれには、ポイントが3点あります。一つは、挨拶です。歩いていてすれ違う一人一人に、「あなたのご近所を通らせてもらっています」の心を持って、挨拶をしてください。黙って会釈するだけでもかまいません。もちろん「こんにちは」の声が出れば、もっと良いでしょう。地元の子供たちは、すれ違うときなど、結構声をかけてくれます。その次のポイントは、笑顔です。あなたは、疲れているでしょう。しかし、それは、地元の人には、関係ないことです。自分の生活の場に、見知らぬ他人が仏頂面で来れば、あなたならどう感じるかと言うことです。だから、挨拶の時や、目と目があったときに、必ず笑顔を見せてください。これで、あなたは、道を教えて頂いたり、「お接待」をしていただくに足る「お遍路さん」になれます。そして、3つめのポイントは、余程のことがない限り1カ所に滞留しないと言うことです。動かないお遍路さんは、嫌われます。文字通り、路を遍く廻っていてこそのお遍路さんなのです。
さて、あなたが、「西国33カ所」など、他の地区の巡礼を経験されているなら、何よりも、道中の人の多さに驚かされるでしょう。単純に平均値を出しても、1日あたり1000人程の、あなたと同じお遍路さんが四国中にいるのです。もちろん、春・秋のシーズンには、その10倍以上となります。等間隔に並べば、常に2〜30mに一人歩いている状態が、数ヶ月間も続きます。先の、季節についてのところでも述べましたが、人の多い季節には、道中の歩き方や宿の予約、納経などで、それなりの対策が必要となると言うことがおわかり頂けるでしょう。

 

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